野比のび太は勉強も運動もだめで、毎日なにかに失敗しています。彼の机の引き出しから22世紀の猫型ロボット、ドラえもんが出てくるのですが、来た理由が変わっています。のび太の失敗が積み重なって子孫が借金に苦しんでいるので、その孫の孫が先祖を直しに送り込んだのです。
一話の形はほとんど毎回同じです。のび太が困り、ドラえもんが道具を出し、のび太がその道具を使いすぎて前より大きく転びます。道具は問題を解決しません。人の欲を拡大して見せる装置です。子どものころは道具がうらやましく、大人になって読み返すと最後のコマの困った表情が目に入る理由がここにあります。
作者は藤子・F・不二雄。1969年12月に複数の学年誌で同時に連載を始め、そうして描かれた821話が小学館のてんとう虫コミックス全45巻にまとめられています。2025年3月25日には全45巻の専用ボックス入りセットも発売されました。
読む順番がないことも効いています。一話がだいたい十数ページで終わり前後がつながらないので、どの巻のどのページを開いてもその日の話が始まります。この構造のおかげで、世代をまたいで読まれる漫画になりました。
アニメは1979年4月に始まったシリーズをシンエイ動画が長く手がけ、2005年4月からは声優と制作陣を新たにしたシリーズがテレビ朝日で続いています。世代の違う人にドラえもんを尋ねると、それぞれ別の声を思い浮かべます。その差がこのシリーズの長さを表しています。
いま初めて開く人にとって、45巻という数字は負担になりません。一話が短く、どこで止めても後から再開できます。



