第1話の最初の場面は結婚式場です。新郎は主人公の上杉風太郎で、新婦は五つ子のうちの一人。顔は隠されていて、誰なのかは明かされません。
この配置ひとつで作品全体の規則が決まります。読者は結末の形を先に知って読み始めるので、以降のすべての場面が証拠探しになります。どの姉妹がいつ心を動かしたのか、幼い日の回想に出てくるあの子は誰なのか。連載中ずっと読者が言い争い、その論争そのものが人気を作りました。
物語自体は単純です。貧しい優等生の風太郎が、成績最下位の中野家五姉妹の家庭教師として雇われます。五人とも勉強が嫌いで風太郎も嫌いという状態から始まり、一人ずつ心を開いていく順で進みます。同じ顔の五人を、表情と口調だけで見分けられるように描くことが作者の課題であり、実際に中盤からは服装を見なくても誰が誰かわかるようになります。
作者は春場ねぎ。2017年8月9日に週刊少年マガジンで連載を開始し、2020年2月19日の122話で完結、単行本は14巻です。第43回講談社漫画賞少年部門を受賞しました。
アニメ第1期は手塚プロダクションが制作し、2019年1月11日から全12話で放送されました。その後もシリーズが続き劇場版まで作られたため、原作の完結後も数年にわたって話題が続きました。
結末を知った状態で読んでも面白さは減りません。むしろ答えを知って読み返したときに序盤の台詞が違って聞こえるほうが、この漫画の設計に近いはずです。



