市川京太郎は中学二年生で、自分は暗い人間だと思っています。クラスメイトを傷つける想像をノートに書き、図書室の隅でそれを育てています。彼がとりわけ長く見ているのが山田杏奈です。背が高く、雑誌モデルをしていて、教室で目立つ子です。
ところが杏奈は、市川が想像していた種類の人間ではありません。図書室でこっそりパンを食べ、変な音で笑い、人との距離感がよくわかっていません。頭の中で作り上げた人物像がひとつずつ崩れていくのと同時に、彼が自分に貼った暗いという札もはがれていきます。
この漫画がうまいのは寸法の取り方です。大きな事件はほとんどありません。廊下ですれ違ったときに挨拶をするかどうか、傘に入れるかどうかで一話が丸ごと埋まります。その代わり、視線がどこへ動いたか、語尾がどう濁ったかが非常に細かく描かれます。中学生の時間感覚をそのまま移した作りです。
作者は桜井のりおで、2018年3月8日から秋田書店で連載しています。13巻は2026年1月8日発売で、そのあとがきで次巻完結が告知されました。最終14巻は2026年11月6日発売予定、累計発行部数は700万部を超えています。
アニメ第1期はシンエイ動画が制作し、2023年4月2日から全12話で放送されました。原作の沈黙と視線をどう移すかが難所でしたが、台詞のない時間をそのまま置く方を選んでいます。
完結が目前なので、いま始めても長くは待ちません。ただし二人がどこまで行くのかは、最終巻が出る日まで誰も知りません。



