この漫画の魔法は、身振りでも呪文でもなく紙に描く図形です。インクで正しい形を引かなければ発動しないので、ペンとインクがそのまま道具であり武器になります。白浜鴎さんが原作と作画を一人で担う『とんがり帽子のアトリエ』は、講談社の青年誌『モーニング・ツー』2016年9月号から連載が始まりました。魔法使いは生まれつきのものだと信じて育った村の少女ココが、魔法の正体をたまたま目にして、魔法使いキーフリーの工房に弟子入りするところから物語が動き出します。単行本は2026年4月23日発売の16巻まで刊行され、累計発行部数は2026年6月時点で900万部を超えています。
今年この作品の名前が一気に広がったきっかけはアニメです。第1期は2026年4月6日から6月22日まで、TOKYO MXほかで全13話が放送されました。アニメーション制作はBUG FILMS、監督は渡辺歩さん、シリーズ構成・脚本は瀬古浩司さん、キャラクターデザインはうなばら海里さん、音楽は北村友香さんが担当しています。ココ役は本村玲奈さん、キーフリー役は花江夏樹さん、オルーギオ役は中村悠一さんです。国内はNetflixとABEMA、アジア以外の地域はCrunchyrollで配信されました。
最終話の翌週にあたる2026年6月29日、スタッフから第2期の制作が発表されました。7月上旬にはティザー映像も公開されましたが、放送時期はまだ出ていません。受賞歴も押さえておくと読み方が変わります。英語版が2020年のアイズナー賞で国際作品(アジア部門)の最優秀米国版を受け、同じ年のハーヴェイ賞でも最優秀漫画に選ばれました。ハーヴェイ賞は2025年10月のニューヨーク・コミコンで二度目の受賞となり、一方でマンガ大賞は2018年の第11回にノミネートされたところまでです。
原作は講談社のコミックDAYSとピッコマ、マガポケで読めます。一コマあたりの線量が多い作品なので、小さい画面より大きい画面のほうが向いています。魔法で戦う場面より、道具の扱いを覚える過程と弟子たちの距離感をじっくり追う話なので、テンポの速さを期待して開くと肩透かしになります。第2期が始まる前に16巻まで追いついておけば、アニメがどこで区切ったのかを見比べながら楽しめます。(2026年8月21日時点)


