冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』は、1998年3月3日発売の「週刊少年ジャンプ」14号で始まりました。父を探しに出た少年ゴン=フリークスがハンター試験を受け、そこでキルア=ゾルディック、クラピカ、レオリオと出会うところから動き出します。この作品が長く語られてきた理由は「念」の設計にあります。生命エネルギーを扱う技術を六つの系統に分け、人によって向き不向きが決まっていて、自分の能力に制約を課すほど威力が上がるという規則を先に立ててあるのです。おかげで戦闘は力比べではなく、相手の条件を推理して契約を読む場面になります。
連載は長く止まっていました。第410話が2024年12月9日発売号に載ったあと、次の掲載時期が決まらないまま時間が過ぎ、第411話が出たのは2026年6月29日発売の31号です。その間が567日でした。再開回はセンターカラーで掲載され、その後も毎週続いて、8月10日発売の37・38合併号では第417話まで進んでいます。冨樫は自身のXで、第421話までの原稿が仕上がっていると書いています。
単行本39巻は2026年7月3日に発売されました。38巻が2024年9月4日でしたから1年10か月ぶりで、2024年10月7日発売号から12月9日発売号までに掲載された第401話から第410話を収めています。この39巻でシリーズ累計発行部数が電子版を含めて1億部を超えました。1998年の連載開始から28年目のことです。記念に、6月29日から7月19日にかけて少年ジャンプ+と集英社のマンガアプリ「ゼブラック」で第1話から第340話までが編ごとに順次無料公開されました。
いま描かれているのは、暗黒大陸へ向かう大型客船の中で進む王位継承戦です。カキン帝国の14人の王子が最後の一人になるまで争う規則の下、それぞれに憑いた守護霊獣の能力すら分からないまま盤面が動いていきます。名前のある人物が数十人いるので、相関図を横に置いて読むほうが楽です。この一連の展開をアニメで見た人はまだいません。マッドハウス制作の2011年版テレビアニメは2014年9月23日の第148話で終わり、原作32巻・第339話の会長選挙編までしか扱っていないからです。2026年8月現在、続編アニメの製作は発表されていません。
日本語版は少年ジャンプ+、英語版はMANGA PlusとVIZで読めます。初めてなら、ハンター試験編からヨークシンシティ編、キメラ=アント編までがこの作品の評価をつくった区間なので、39巻すべてを追う必要はありません。ただ、これから読み始める人には先に言っておくことがあります。第411話から続く今回の連載も、描きためた原稿が尽きればまた止まる可能性があり、直前の空白は1年半でした。その間隔を受け入れられるなら、王位継承戦はこの作品でもっとも緻密に組まれた場面のひとつです。(2026年8月21日時点)


