美内すずえの『ガラスの仮面』は1975年12月5日に連載を始めました。50年を経た今も完結しておらず、その事実自体がこの作品に付いて回る話になっています。中華料理店の出前をして暮らす少女・北島マヤが、引退した女優・月影千草の目に留まり、演技を学び始めます。
マヤに与えられているのは容姿でも家柄でも学歴でもなく、他人の人生をそのまま受け取って生きる力だけです。向かい合うのは俳優一家に育ち条件をすべて備えた姫川亜弓で、二人は同じ役をめぐってぶつかり続けます。劇中劇がこの漫画の核で、『王子と乞食』『嵐が丘』『奇跡の人』などが稽古と本番として丸ごと再現され、同じ台詞を二人の役者がどう違うものにするかが何話にもわたって描かれます。
伝説の戯曲『紅天女』の上演権をめぐる物語が後半の軸であり、その結末はまだ出ていません。演技とは何をすることなのかをこれほど長く掘り下げた漫画は少なく、完結の有無にかかわらず読まれ続けています。



